わたしが五ヶ月のはなを連れて実家を離れ、一人暮らしをはじめた五日目の夜。全ての荷物をほどききれていないために置いてあったダンボールの中の新聞紙をほりほりして一休み中の、はなのお腹をたまたま撫でてみると、なにやらぼこぼこする手触りが。
これは一体なんだろう。内臓か?前からこんなだったかな・・・でもこうやってお腹を触るのは考えてみれば今日が初めてだし・・・
と、少し不安を感じながらも、至って本人は元気であるため大丈夫なんだろうと思っていた。
翌日は朝八時半からずっと仕事で、帰ってきたのは約二十五時間後のこと。
朝。疲れた体で玄関を開け、「はな〜生きちょんかえ〜」と言いながらケージに近づくと近眼なのでよく分からないがなぜか肉の塊が数個落ちていた。
前日の夜、父親にケージの室内移動をお願いしていたので、父親が何か入れていったのだと思い、
ヤダお父さん、何で肉をいれてくれてんの?食べるわけないのに・・・・
と思いながら近づいてみるとそこには生まれたての仔ウサギが四羽、横たわっていた。
すのこは血だらけで、なおかつ周囲にも血液が飛び散っていた。
四羽の仔ウサギのうち、一羽は生まれた直後に月へと旅立ち、もう一羽は少ししてやはり月へと旅立っていったようであった。
ふまれたのかも知れない。一番の原因は環境の整っていないケージの中での出産が悪かったのだろう。
そしてかろうじて動いている二羽が、この後さくらともも太と、命名されるうさぎである。